山の方へ行くと、落ち葉のお布団がうっすらとかかりはじめ、秋の気配を感じるようになりました。
お米の方も順調に実り、気付けば稲刈りの時期です。
心を込めて、美味しいお米をつくりたいので、手刈りして、天日干しします。
父からのとてもありがたい申し出により、私のひいおじいちゃんの頃から使われていたという、実家の納屋の中で数十年眠っていた「はさぎ」と「はさなわ」を、使わせてもらえることになりました。
はさぎを移動させたあとは、木が腐らないように三角錐の形にして立てかけておくそうです。
なんだか懐かしさがあり、どこかで見覚えがあるなぁと、
この光景を見て、子供の頃の記憶が少しよみがえりました。
ただ、私が子供の頃には、もう「はさがけ」は行われていなかったので、このような形で木が組まれていたことしか覚えていません。
まず穴を掘り、そこにナラの木で支柱を立てて、落葉の木で横棒を組み、更に落葉の木で支えをつけ、組んだ横棒の上にはさなわを張っていきます。
父に教えてもらいながら作業を進め、ほとんど父が一人で、あっと言う間に作り上げてしまいました。
父は小学校高学年からこの「はさぎ立て」を祖父から教わりはじめ、中学生になると、一人前に組めるようになっていたそうです。
昔の記憶を辿りながら、父がこしらえてくれました。
縄の縛り方ひとつにしても、丈夫に縛ることはもちろんのこと、使い終わった後は簡単にほどくことができ、なによりも長く使い続けられるような工夫が施されていました。
昔の人たちが、いかにして、身近にあるものを大切に使い続けていたのかを、身を持って感じることのできた、とても貴重で大切なひとときでした。
正直、今まで父の凄さというものを感じたことがなかったのですが、今回のことを通じて、父の偉大さを感じ、父から学ぶべきことが、まだまだたくさんあることに気付かされました。
そしてそこには、先代から受け継がれてきたとても大切な「想い」も、感じとることができました。
私が次の世代に伝えるべきことは、こういうことなんだなぁと、今まで漠然と思っていたことが、はっきりと見えはじめてきた気がします。
はさぎ立てを通して先代の教えを伝えてくれた父に
すべてのものを大切に扱い、
今に遺してくれた先代の方々に
そして、私を支えてくれているすべての人たちに
心より感謝申し上げます。
いつもどうもありがとうございます。
コメントをお書きください